県医師会理事だより

県医師会報7月号投稿論文

新型コロナウイルス感染症に対するかかりつけ医としての現況
〜オミクロン株特有の鼻咽腔、喉頭・喉頭蓋所見〜

志太医師会会長

志太ENTクリニック森耳鼻咽喉科院長 森 泰雄

 静岡県の新型コロナウイルス感染者数は、オミクロン株による第6波のピーク令和4年2月10日には第5波のピーク令和3年8月25日の約3倍となっていた。中部保健所管内では、第6波のピーク令和4年2月1日には第5波のピーク令和3年8月24日の約2.7倍となっていた。デルタ株では下気道症状が強く肺炎による重症化が特徴的であったが、オミクロン株では上気道炎が主体となり軽症化したと言われている。そこで新型コロナウイルス感染症に対するかかりつけ医としての現況とオミクロン株特有の鼻咽腔、喉頭・喉頭蓋所見について報告する。
 新型コロナウイルス感染症に対するかかりつけ医としての3条件は①地域住民に対し新型コロナワクチンの予防接種をしている、②発熱等診療医療機関として抗原検査やPCR検査で診断している、③陽性患者に対し自宅療養協力医療機関として電話等による健康観察をしている、が挙げられる。当院では自宅療養協力医療機関として陽性判明翌診療日から電話による健康観察を2月19日から開始し、新型コロナウイルス感染症患者かかりつけ医へとステップアップした。2月18日(金)から28日(月)までの11日間のG-MIS(医療機関等情報支援システム)の登録件数はPCR:18件、抗原定性検査:42件であった。HER-SYS登録(新型コロナ陽性)件数は男性15名、女性17名の計32名で、年齢は2か月から73歳、住所は藤枝市21名、島田市6名、焼津市5名であった。被検者の単純陽性率は32/60の53%であった。検体は全例鼻咽腔ぬぐい液を採取し、時間的動線分離の診察室内採取が11名、空間的動線分離のドライブスルー採取が21例であった。検査手段はPCRが5例、インフルエンザ・コロナ(フルコナ)同時抗原検査が21例、コロナ単独抗原検査が6例であった。陽性判定の翌診療日から原則全例電話での自宅療養健康観察を開始し、2月18日からは実質7日間、一日4例から20例で延べ91例であり一日平均13例であった。
 3月のG-MIS登録件数は79件、その内訳はPCR:21件、抗原定性検査:58件、4月のG-MIS登録件数は114件、その内訳はPCR:47件、抗原定性検査:57件であった。
 3月のHER-SYS登録件数は男性26名、女性17名の計43名、藤枝市32名、焼津市7名、島田市2名、吉田町1名、静岡市1名であった。
 4月のHER-SYS登録件数59名のうち疑似症登録の3名を除いた陽性者は、男性35名、女性21名の計56名、藤枝市43名、焼津市9名、島田市3名、駿東郡1名であった。3月と4月を合わせた被検者の単純陽性率は99/193(51%)と被検者の半数が陽性であり、2月と同様であった。
 2月と同様3月、4月とも検体は全例鼻咽腔ぬぐい液を採取し、時間的動線分離の診察室内採取が19名、空間的動線分離のドライブスルー採取が80例であった。検査手段はPCRが29例、フルコナ同時抗原検査が23例、コロナ単独抗原検査が47例であった。これら99名と疑似症患者3名の102名のうち駿東郡の1名を除いた101名は陽性判定の翌診療日から電話での自宅療養健康観察を開始した。
 2月18日からの陽性131例中、時間的動線分離による診察室内診断は30例の23%であった。これらの症例ではオミクロン株特有の上気道所見が確認されたので提示する。

 図1は新型コロナウイルス感染者の上咽頭所見である。検査では同部を擦過しぬぐい液を採取する。粘膜は発赤し、粘調な分泌物の付着が認められ、後頭部痛の原因や後遺症となるので注意を要する。
 図2は新型コロナウイルス感染者の喉頭・喉頭蓋所見である。粘膜は発赤し、粘調な分泌物の付着が認められ、咽頭痛、嗄声や咳・痰の原因となる。
 6月7日ともなると新型コロナウイルス感染者は明らかに減少してきており、冬のオーストラリアではインフルエンザが猛威を振るい入院患者数も増加している。日本の今冬はインフルエンザが猛威を振るい新型コロナウイルスは風邪ウイルスとしておとなしくなっているでしょうか。

図1 新型コロナウイルス感染症者の上咽頭所見
図1 新型コロナウイルス感染症者の上咽頭所見

図1 新型コロナウイルス感染症者の上咽頭所見

図2 新型コロナウイルス感染症者の喉頭・喉頭蓋所見 吸気時

吸気時

図2 新型コロナウイルス感染症者の喉頭・喉頭蓋所見 呼気時

呼気時

図2 新型コロナウイルス感染症者の喉頭・喉頭蓋所見